波のまにまに。〜すなみちな日々。

すなみち@楽に生きる方法を模索中。40代ワーキングマザー。日常の思考の波間からなるべく丁寧に言葉を拾って紡ぎたいなと日々言葉を紡いでいます。

「悩みどころと逃げどころ」という本にめちゃくちゃ考えさせられた

この本が面白すぎて、子どもを寝かしつけた後にやっぱり気になって起きてきて、30分くらいで、一通り読み終わりました。

まだ深読みってほどには読めてないけど、大体の内容は頭に入ったかなーと思うので、この記事を書きます。

悩みどころと逃げどころ (小学館新書 ち 3-1)

悩みどころと逃げどころ (小学館新書 ち 3-1)

 

 「社会派ブロガー」ちきりんと、日本人初のプロゲーマーで、今や格闘ゲーム界の「神」と言われているらしい(全然知らなかった)、梅原大吾という人の対談本です。

 

「社会派ブロガー」とゲーム界の「神」...一見全く接点がなさそうな二人だけど、それがかえって価値観や生き方の違いになって、それぞれの会話が刺激になって、どんどん新しい切り口を生み出していく...と言った感じ。だから文章に勢いがあるし、発見もあるし、それがこの本の「面白さ」を生み出しているのかもしれない。

 

テーマは「納得いく人生とは何か?」または「学校教育が刷り込む価値観について」

私の中で特に印象に残ったのが、このやり取り。

 

ちきりん「いまだに古い価値観を押し付けてくる学校に、本当に行く意味はあるのか?」

ウメハラ「僕の経験から言うと、やっぱり学校には行かないと損をすると思う。取り柄がない上、学歴もないと本当に人生詰むから。」

 

以前から、オンラインサロンを主宰している人(=慶應)が「学校なんか行くよりオンラインサロンに行った方がためになる」と言い出したり、ホリエモン(=東大)も「学校なんて無駄。行くな」と言ったり、「学校不要論」を言い出す人に限って、しっかりと良い学校を卒業しているってことが私は前から気になっていた。

 

そういうことを言い出す人って、本当に伝える相手を見て言ってるのかな?
「本当にそうなったら世の中面白い事になりそう!」程度にしか思ってないんじゃないかな?

ちきりんも高学歴、エリートだし...。

学歴がある人が「学校なんて無駄」なんて言い放っても、リアリティが全然ないですね。

だけど本の中で梅原さんが語っていた「学歴のせいで見下されるのって本当に惨めだ。バイト先でお金がなくなって、真っ先に学歴のない自分が疑われた」という経験談、すごくリアルでした。

 

接点はないけど共感する「氷河期世代

 

自分的には、梅原さんが1981年生まれ=氷河期世代ということで、自分との共通点を見出し、そういう意味でも少し親近感を持ちました。

氷河期世代ということは、社会的にも不運で、冷遇されてきた世代。

 

彼は就職活動なんて経験していないかもしれないけれど(本の中ではゲーマーという自分に不安を感じて、一時期迷走した時期があったと書いてあるので、就活くらいはしたことがあるかも)、私が就職活動した時は、本当にどこも厳しくて、必要とされない絶望感という闇の中、どんどん卑屈になっていき、やがてなりふり構わなくなり、何とか必死で内定をもらったところでも、結局続かずに辞めてしまいました。

 

その後、派遣社員として登録してみても、未経験だから仕事もなくて、親に新聞で見つけてもらった中小企業に入るもその後倒産するという...

私もなかなか結構ハードな「底辺街道」を歩いてきているなあと思います。

そういう人が味わってきた「実感」は、やはり実感してきた人同士にしか分からないと思う。

 

学校教育の弊害?

この本では「自分のしたいことを見つけている人たち」と「そうじゃない人たち」と、カテゴライズされているわけですが。

「普通の人が、自分がしたいことを見つけられないのは、横並びを美徳とする学校教育の弊害では?」という結論が述べられています。

 

それは確かにそうかも、と思う。

私も、自分がしたいことを見つけられていたら、就職氷河期なんかに負けず、今頃はちゃんとやりたいことを実現できていたかもしれない。

学校教育って、義務教育だけで9年間もある。

大学まで含めると、16年間。その間ずっとそのやり方や価値観に染まっていた人が、社会に出て「何か違う!」と思ってオロオロしても、軌道修正今頃難しいだろみたいな...。

それを考えると、社会にでて20年間近く放っておかれた氷河期世代が、今更何かの援助を受けたって、変わることなんてできないんだろうなあ。

 

最後に、自分へ。

梅原さんの「物事の本質を見抜く力」は本当にすごいです。なぜでしょう。全て自分の経験から語られているからかなあと思います。

それらをちゃんと引き出し、うまく言語化できているのは、ちきりんのインタビュアー(実際は対談なんだけど)としての能力のおかげなのかな。

 

私なんかのレビューじゃ全然表現しきれていないので、この本の面白さについては、実際に読んで、感じていただけると嬉しいです。

またリンク貼っときます。 

悩みどころと逃げどころ (小学館新書 ち 3-1)

悩みどころと逃げどころ (小学館新書 ち 3-1)

 

 久しぶりにブログを開き、この記事を書こうと思ったのは、この本が本当に面白いと感じた勢いもありますが、自分についての戒めについても書いておきたいと思ったから。

 

少し前までは、好きで楽しんでいたはずの「頭の中を整理して、文章化すること」が、最近はなかなかうまくできなくなっていた。

 

その理由としては、たぶん色々あると思うけど、簡単に読めてしまう周りにあふれる情報や、それによって反射的に引き起こされる感情などに目をくらませられて、物事の本質がはっきり分からなくなってきたという理由があるような気がします。

 

誰かの文章を読んで、自分の意見を代弁してもらうことで、いつの間にか「自分で考える」ということをしなくなってきている気がします。

 

今の子供たちは、そんな「考えなくてもなんとかなる社会」に生まれついているとも言える。それってかなり怖い、というか、しんどいことだよなあ。

私が子供のころ、ネットなんてなかったけど、その分時間はふんだんにあり、人からの影響も受けにくかったので、そういう意味では幸せだったのだなあと今は思う。

 

これからの子供たちは、そういう「外の情報」から「自分」をうまく守っていく必要があると思う。でないとあふれる情報をモロに受けて、自我が崩壊してしまうんじゃないか?

 

とにかく「ちゃんと、自分で、考える」。

そして「経験しろ。それによる感情を味わう」こと。

これこそが、これからの時代も引き続き必要とされることじゃないかと思うし、自分の子どもにも気をつけて伝えていきたいなあと思います。