祇園祭で思い起こすあの頃のこと
京都で祇園祭の真っ最中ですね。
祇園祭の話題を耳にするたびに、蘇る記憶があります。
まだ独身だった頃、京都の割とすぐ近くに住んでいたので、一度だけですが祇園祭を見に行ってみたことがありました。
祇園祭というのは、1ヶ月間ずっと開催されるお祭りで、私は友人と行ったのですが、そんなに混んでいるふうもなく、ただ夜の京都を味わいに行ったという感じでした。
民家で工芸品などの展示が行われているのも興味深くて。普段は入れないようなところまで一般公開されていて、それもどこか非日常感があり、当時まだ若かった私は、とてもワクワクして巡ったものでした。
細かく入り組んだ道のあちこちを、巨大な鉾や子供神輿たちが休憩しているのが見え、夜の京都を背景に、非常にエキゾチックでゾクゾクしたのを覚えています。
当時はまだ子供に全く関心がなかったけど「いつか子供ができたらあんなふうにお祭りに参加させるんだ」と語ったこともよく覚えております。
あの頃はスマホもなかったので、その時の写真などが残っていることもなく、ただ私の記憶の中だけにある出来事です。
そんなふうに、まだ独身の頃に「大人になったら◯◯するんだ」と当時ワクワクした記憶が、今でもふっと思い出されることがあります。
いつか好きな人ができたら。
大人になったら。
お金持ちになったら。
結婚したら。
そしていつか子供が生まれたら
…
まだ見ぬ未来に思いを馳せた、たくさんのキュンとしたときめき。
叶った夢もあれば、叶わなかった夢も。
若さゆえの憧れや野望というものは、今はもう取り戻せない、返ってこない感情だなとつくづく感じるのです。
そんな甘酸っぱい記憶や感情は、誰しも心にそっと秘めているのではないでしょうか。
私にとって祇園祭という言葉は、いつもそんな懐かしい感情を思い起こさせるのでした。