四角大輔「人生やらなくていいリスト」を読みました。
四角大輔さんのことは、この本を読んで以来のファンです。
これを読んだのは30代くらいだったと思いますが、シンプルな思考、シンプルな文体がとても読みやすく、なかなかの影響を受けました。
ちょうど、「ミニマリスト」が世の中のブームになっていて、自分の中でその流れもありました。
今気づいたのですが、書籍のタイトルが「やらなくていいことリスト」ではなくて、「やらなくていいリスト」なのがポイントです。
つまり、やらなくていいことがつらつらと挙げられているわけではなくて、四角大輔さんの考える、「自分に人生にとって、そんなに重要じゃなかった」と思われるエピソードが綴られています。
会社員時代、ダメダメな営業マンだったこと、ストレスをかかえて辛かったこと...
そんなことが、つらつらと書かれています。
四角大輔さんが、歌手の綾香やケミストリー、superflyをプロデュースした人だという知識があれば、「えっ!?エンターテイメント業界で大成功した人なのに、そうなの?」と思うかもしれません。私もそうでした。
今でこそニュージーランドに住んで、ノマドというライフスタイルを確立し、自由な生き方をしている人というイメージがありますが、メディアで語られる彼は、プロデューサーとしても華々しい成功を成し遂げた人という印象でした。
なのに、この本を通して見える彼は、人見知りなために苦労し、空気を読まないためにいじめに遭い、仕事のタスクをこなそうとするあまりに自分を見失い、失敗し、挫折をたくさん経験してきた一人の等身大の人間でした。
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最近、仕事のお客さんから聞いたある言葉があります。
それは「選択と集中」。
これからはそれをやっていきたいと。
割と真理にかなっていると思います。
人にとってコンテンツも情報もツールも商品も選択肢も溢れかえっているこの時代。
物質主義に陥り、あれもこれもと欲張って得ようとしていては、結局何も得られないということかもしれません。
両手いっぱいに抱えているのに、本当はこれが欲しいんじゃなかった、と気が付く虚しさ。
いえ、気づけるならまだ良くて、おそらく気づかないで一生を終える人も多いんじゃないでしょうか。
そんな不安を抱える人に、やさしく語りかけてくれる本です。
雑多な社会から距離をとって、自然の中で生活し、じっくりと思考や体験を重ねることのできる四角大輔さんこそが気付けること、語れることってあると思うのです。
私にできることは、うるさすぎる社会に日々疲弊しそうになりながらも、そうならないために、ただその優しい言葉にそっと耳を傾けるだけです。