波のまにまに。〜すなみちな日々。

すなみち@楽に生きる方法を模索中。40代ワーキングマザー。日常の思考の波間からなるべく丁寧に言葉を拾って紡ぎたいなと日々言葉を紡いでいます。

酒井駒子さん絵本「よるくま」の優しさ

酒井駒子さんの「よるくま」という絵本をご存知でしょうか?

よるくま

酒井駒子さんの雰囲気のある絵が好きで、子どもが生まれる前からこの絵本を持っていたのですが、先日ふと思いついて、子どもに読んでみました。

・・・すごい食いついた!

読み始めたとたんに神妙な顔をして聞き入り、その後何度も何度も読むのをせがまれました。

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「よるくま」は、夜、寝る前に男の子がお母さんに語りかけるところから始まります。

昨夜、寝ている男の子の元に“よるくま”という熊の子が訪ねてきたというのです。 お母さんが突然いなくなったというよるくま。男の子は、よるくまと一緒にお母さんを探してあげます。

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ストーリーは単純なようで奥深く、子どもには難しいかな、理解できるかなと心配したんですが、全然問題なかったようでした。

「おかあさん」「くま」「おうち」「ぶらんこ」など、出てくる単語が子どもが普段馴染みのあるものばかりだったからでしょうか? それとも、「お母さんを探す」というテーマが子どもの心深くに響いたから?

これから息子のお気に入りの一冊になる予感がします。

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個人的に心に響いたレビューをご紹介。

酒井駒子『よるくま』感想(by 風と空といもむしごんたろう)いもむしごんたろう様

子どもは少しずつ、自分から勝手に母親のもとを離れていくのです。 母親がいなくて不安に感じるのは、 母親が子どもを放置しているからではなく、 子どもの意識や眼差しが母親以外の方に向かうからです。 子どもが、自らすすんで、母親以外の方に向かって進んでいき、 そして不安になるのです。 ベッドで目を閉じているだけで不安になる。 この絵本はそれを表現しているのだと思います。

「よるくま」は、特に働くお母さんにとっては、ぐっときてしまう絵本かもしれません。なぜならよるくまのお母さんは、子どものために、夜、お仕事をしているという設定だから。

仕事をしている母親の、子どもへの愛情。「よるくま」ではこう表現されています。

「ごめん ごめん。おかあさん おさかなつって おしごとしてたの。 ほら ごらん こんなにつれた。あしたの あさ たべようねえ。」

アマゾンのブックレビューに、こう書いている方がいました。

「今」が大事な子供と、「明日」を考えて働く大人。気持ちは同じ、一緒に楽しい時間をすごしたい。大人は準備が必要なことを知っているだけ。(amazon カスタマーレビューより)

なるほど、と心に感じ入りました。

ひたすら無邪気に「今」を生きる子どもから、つい離れてしまう私の心。

なるべく同じ目線でいたいけど、段取りややらなければいけないこと。子どもと遊びながら考えてしまいます。 子どもと一緒に無邪気にはなりきれず、「次」のことばかり考えている。

けれど「よるくま」では、そんな大人の存在があるからこそ、子どもが守られている。子どもの「明日」が保障されている。明日の朝にお魚を食べられて、魚を売って得たお金で、自転車を買いに行くことができるのです。

そんな優しい目線が、この絵本の魅力だなと思いました。