波のまにまに。〜すなみちな日々。

すなみち@楽に生きる方法を模索中。40代ワーキングマザー。日常の思考の波間からなるべく丁寧に言葉を拾って紡ぎたいなと日々言葉を紡いでいます。

自己承認ビジネスの行き着く先にあるもの

少し前、「映画えんとつ町のプペルのチケットを80枚も買ってしまった人」のことがネットで話題になっていて、その時はあまり興味を持てなかったのですが、ふとしたきっかけで、その人のnoteを読んでみました。

 

ネット上にあれこれ材料が落ちているので詳細を書くことは控えますが、一言で言うと、「今の時代って、自己承認ビジネスがものすごく蔓延しているんだな」でした。

 

そもそもこの人がチケットを買うに至ったのは、西野さんのオンラインサロンメンバーだったからで、「買えば何かを変えられると思った」からです。

 

何かを変える、をもう少し詳しく言うと、「冴えなくて何もできない自分(=自己評価が低い自分)が、何かを成し遂げる、キラキラした自分(=自己評価が高い自分)に変われると思った」からということだと思います。

 

私も割と自己承認欲求高めなので、なんかもうこの人の気持ちは痛いくらいわかります。

 

ただ、他者に認めてほしいとか、なんかすごいと思われたいとか、イイネ!って言ってほしいとか、そういう欲求って、根本の何かを解消しない限り、終着しないということに注意する必要があります。

 

認めてほしい、イケてる(=死語か...)って思われたい、キラキラしてたいとかって、結局は本当は自分が自分のことを認めたいの裏返しなのだと思います。

 

この人も言っているとおり、小学生はそこそこ人気があった自分が、中学になり「なんか自分って人気者って思ってたけど、実は違くね?」と違和感を感じ出し、焦るように"陽キャラを演じた"とのこと。そこにはこれまで自分が思ってた自分と、現実の自分に大きく隔たりを感じてしまう出来事があったのだと思います。

 

ちょうど今、少し前に映画化もされて話題になった小説を図書館で借りて読んでいるのですが、思ったのは、自分の地位がまざまざと見せつけられる、学生時代ってなんて残酷なんだろう。ということでした。

 

桐島、部活やめるってよ 朝井リョウ

 

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

 

 

ただ現代の大変なところは、"陰キャ" "陽キャ"で評価されるのが、学生の頃だけじゃなくてSNSやインターネットの発達の影響で、卒業してもなお外部評価に追いかけられ続けると言うことです。

 

これは決して今の若者だけの話じゃなくて、いい年した大人だって、"イイネ!"やハートマークという自己承認を満たしてくれるツールの虜になっています。

 

それくらい、人は自己承認を求めている人が多いし、今の時代はそれが可視化されるようになって、人を放っておいてはくれないということです。

 

結局、クラウドファンディングやオンラインサロンが流行るのはそういった人々の「何か影響のある人の元に集いたい」「誰かを応援したいし、そんな自分ってすごいと思いたい」という欲求がうまくビジネスにはまった結果だと思います。

 

だから今後もどんどんこういったビジネスは流行っていくだろうし、はまる人たちも増えることと思います。

 

でも、お金を払って自己承認を買う人たちのことを責める理由はありません。だって納得して購入しているのだから。

ただ、余計なお世話を承知で言わせてもらうと、本来、自己承認欲求は人の助けを借りて満たすものではなく、やはり自分で満たすしかないということは言えるでしょう。

 

 

人というのは、完全に自分には無理、不可能ということは願望になりえず、「あとちょっとで届くかもしれない」「がんばればいけるかもしれない」という錯覚が願望に変わるらしいです。

 

「いけるかも」と思えることは、きっと何らかの方法や努力次第で、本当に、多分、いけるのです。肝心なのは、自分が願望だと捉えていることが、人からこう見られたいとか、こうしたら人は認めてくれるだろう、というような"他己承認"に陥っていないか、注意する必要があります。

 

まだ若くて人生迷うのは当たり前だし、冒頭で紹介した人はネットで炎上しても何とか病んだりせずに頑張っているみたいなので、若さというエネルギーをうまく使って、自分の中の矛盾にどんどん立ち向かって欲しいです。